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2022年4月の記事

補体について (11)

2022年4月1日

補体系が関わる病気 10

Other Disease
~ その他の病気 ~

ライム病

ライム病はスピロヘータBorrelia burdgorferi によって引き起こされ、マダニに噛まれることで感染します。現在、世界で最も一般的なダニ媒介性の病気です。米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)が推奨する検査方法は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)と、その後のウェスタンブロットによる陽性結果の確認です。1 しかし、これらの検査には、噛まれてからすぐに検査を行うと偽陰性になってしまうことがある、という問題があります。Shoemaker らは、急性ライム病の患者において、補体タンパク質の断片であるC3a およびC4a の濃度が上昇していることを報告しています。2 さらに、ライム病の筋骨格系の症状が主な患者では、C3a が正常で、C4a が上昇することが示されています。C4a の変化は、慢性ライム病の治療に対する反応と相関しています(治療に対する反応はC4a レベルを低下させます)。3 したがって、C4a は、ライム病の症状が持続している患者にとって貴重なマーカーとなる可能性があります。

アレルギー性喘息

アレルギー性喘息は、上気道の慢性炎症性疾患です。アレルギー性喘息は、特定の個人において、一般的な環境抗原(汚染物質、タバコの煙、アレルゲンなど)に対する不適切な免疫反応の結果として発生します。4 喘息患者の肺では、補体が活性化されているという証拠があります。アナフィラトキシンである C3a とC5a は、喘息患者にアレルゲンを投与すると上昇しましたが、健常者では変化はありませんでした。5,6 C3a とC5a の産生のバランスが、吸入アレルゲンに対する免疫/耐性の発現傾向を決定している可能性があります。アナフィラトキシンと喘息の関係を完全に解明するには、更なる研究が必
要となります。7

References

  1. Aguero-Rosenfeld, ME et al. Diagnosis of lyme borreliosis. Clin. Microbiol. Rev.18:484-509 (2005).
  2. Shoemaker, RC et al. Complement split products C3a and C4a are early markers of acute lyme disease in tick bite patients in the United States. Int. Arch. Allergy. Immunol. 146:255-261 (2008).
  3. Striker, RB et al. Complement split products C3a and C4a in chronic lymedisease. Scan. J. Immunol. 69:64-69 (2008).
  4. Zhang, X and Kohl, J. A complex role for complement in allergic asthma. Expert Rev. Clin. Immunol. 6(2):269-277 (2010).
  5. Krug, N et al. Complement factors C3a and C5a are increased in bronchoalveolar lavage fluid after segmental allergens provocation in subjects with asthma. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 164:1841-1843 (2001).
  6. Ali, H and Panettieri, RA. Anaphylatoxin C3a receptors in asthma. Resp. Res. 6:19-24 (2005).
  7. Wills-Karp, M. Complement activation pathways: A bridge between innate and adaptive immune responses in asthma. Proc. Am. Thorac.  Soc. 4:247-251(2007).
報道通信社より発行されております月刊経営情報誌『Anchor』(アンカー)のインタビューを受けました。インタビューはびわ湖大津館にて行われ、当日のゲストインタビュアーは元光GENJIの大沢樹生氏。経歴や起業に至る経緯、今後の抱負等約40分のインタビューでした。このインタビューの内容はAnchor 8月号の「地域再生─企業は人なり─」に掲載されました。

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